メビウスの死生観

劇場版『遥かなる時空の中で』を見終わってN○Kをかけたら『プロフェッショナル仕事の流儀』を再放送していた。がん看護専門看護師の回。


一応、看護師の端くれではあるが、これでも高校〜大学1年までホスピスケアの興味を持って講義とったりしていたんだ。アルフォンス・デーケン(死生学の有名な先生)の眠くなるビデオを見たり、キューブラ・ロスの“死の受容段階”を勉強したり。でも、それ以上には全然進まなくて、いつまで経っても死の受容ばっかりやってる講義に飽き飽きしてホスピスケアに対する情熱もあっという間に冷めてしまった。


特に目標もなく看護学を勉強していたら鬱になった。うつ病になった。死にたくなった。何回か試みた(雪に埋もれるとかw)。そんな時、卒論のテーマを決めることになって選んだテーマは“自殺予防”。死にたい自分に疑問を持ったから。卒論自体はうつ病の影響でまともに書くことも出来なくて最悪なものだったけど。関連書籍を読んだり、考えたりしてるうちに「自殺しないためには生きがいが必要だ!」なんてひらめいた。すごく当たり前のことをひらめいた。じゃあ生きがいとは何ぞやと考えたら「生きがいとは死にがい」という結論に至った。「それなりにヤなこともあったけど、結構いい人生だったんじゃん?」と思って死ねたら最高だと思うから。そう思うためには「はぁ〜余は満足☆」とか「もう心残りもないわー」っていう経験が必要。つまり“死にがい”ってのは心置きなく人生を終えるための“何か”のこと。


『プロフェッショナル〜』では、それぞれが死んでしまう前にやっておきたいことを見つけて、それを実行するまでの過程を放送した。最後の最後まで治療を試みようとする人、娘の結婚式に出席する人、心の重点は人それぞれだ。最期の希望に向けて心をサポートし、実行の準備を手伝う終末期看護は非常に魅力的に見えた。私がやりたいと思うホスピスケアだった。


今、私は老人ホームで看護師をしているけど、医療行為とは別のところで数人の入居者さんの心に安心を届けられているんじゃないかなーなんて少し思っている。そしてそれって精神科看護が好きで精神科病棟を経験したからかもしれんなんて思っている。「看護師の仕事じゃねーじゃんw」て思うかもしれんけど、精神科を経験したから出来ていることもあると思うんだ。

ホスピスだと一般病棟の経験も随分必要だと思うから、今後ホスピスで働くことはまずもってないことかもしんない。だけど、老人ホームに場所を変えてかつての自分の憧れの看護は出来るんじゃないかなんて、少しの希望を持ったりもしている。なんだかんだ言いながら、ちゃんと自分のしたい仕事に就けている自分は、相当な幸せ者なのかもしれん。