街へ行けば人が死ぬ

止まらぬ飛び込み自殺 JR西 防止決め手なく苦慮

8月23日16時14分配信 産経新聞

 JR西日本管内での飛び込み自殺が平成19年度、前年度に比べて8件増え85件にのぼっていたことが23日、分かった。今年度もほぼ同じペースで推移しており、減少の兆しは見られないという。利用者に大きな影響を与える鉄道自殺だが、同社では「防止の決め手はない」と苦慮している。

 JR西によると、昨年度の同社管内の人身事故件数は214件で、うち85件が飛び込み自殺だった。

 全国では19年度、前年度比約3%増の約3万3000人が自殺。鉄道への飛び込みは、首つり▽高所からの飛び降り▽入水−などに次いで6位で全体の約3%ほどだが、周囲への影響は大きい。

 例えば、7月2日に大阪府茨木市JR東海道線茨木駅で発生した、特急電車への男性(45)の飛び込みでは、約1時間半にわたって列車が運休し、約8万7000人に影響した。

 同社によると、事件性の有無を調べる警察の現場検証の後、遺体の搬出を経て運転再開までの平均所要時間は1時間程度。2時間以上かかるケースもある。

 鉄道各社の経済的損失は、車両の破損のほか、代行バスなど振り替え輸送費用などで数百万円に上る。新幹線の場合は、特急料金の払い戻しの人件費などで億単位の損害が出るという。

 さらに、残された家族は鉄道各社から損害賠償を請求され、鉄道関係者によると、「法的手続きに至るケースもある」という。

 自殺防止の相談を受けるNPO団体「大阪自殺防止センター」(大阪市)の澤井登志所長は「鉄道自殺は社会への攻撃性が強く、巻き添えなどで他人に迷惑をかけることも気にしない人が多い」と指摘する。

 JR西では人身事故を防ぐため、駅ホームにガードマンを巡回させたり、精神を落ち着かせる効用がある青色発光ダイオードの照明灯を導入するなどの防止策を取っている。

 しかし、同社の調査によると、今年度も管内の自殺は6月末現在で計21人を数え、発生のペースに変化はない。

 同社広報部は「自殺を踏みとどまらせる妙手はなく、事後の処理を速くして利用者への影響を最小限にするのが精いっぱい」と話している。

現場検証と遺体処理で一時間ってのがすごい。遺体処理だけでも一時間かかりそうなのに。

思うに、飛び込み自殺は男性(しかも中年)が多いのではないかと予測。というのは、男性の自殺未遂は女性より少ないのだが、それは自殺既遂が圧倒的だからだといわれている。たとえばリストカットという行動は男女問わず見られるが、女性のほうが圧倒的に多い。つまり、男性のほうが希死念慮の早い段階から、確実な方法を選択しやすいと言えるのだ。その裏側にあるのは社会的立場、ジェンダーの違いと言えば大げさだろうか?中年男性に限って言えば、経済的な理由による自殺がもっとも多かったように記憶している。

うつ病や仮面うつ病とも言うべきアルコール依存症に罹患する人は、一般的に“らしさ”にこだわりがある。男らしさ、父親らしさ、女らしさ、母親らしさ、その他諸々。そのために、“〜らしさ”から自分自身が逸脱したと感じたとき、急激に自信を失ったりすることが多い。一瞬の自信喪失によって、今後の人生を絶望的に考えてしまう傾向があるようなのだ。だが、絶望的に感じた後の行動は、先に述べたような性差が生じる。


突拍子もない空想に過ぎないかもしれないが、夫婦の働きかたについて見てみれば、夫が専業主夫の家庭というのはまだまだ少ないが、専業主夫というのはかつての男性のイメージと真逆である。また、働きに出ている妻の役割も、共働きの家庭での役割とは違ってくるし、かつての女性のイメージとは違うと言える。その時点で両者の“一般的な男(夫)らしさ”“一般的な女(妻)らしさ”は、さして問題にならないほどの概念だと考えられる。*1

妻は専業主婦である家庭は、かつての日本では多く見られたが、近年は共働きの家庭が主流ではないかと感じる。その場合“一般的な男(夫)らしさ”というのは、日常特に気にしているわけではないが、根底にある心の拠り所、大黒柱となっている可能性は非常に高いように思う。「男性が家族を扶養しなければならない」というかつての概念を引きずっていると考えられるためである。

このように“一般的な〜らしさ”を大事にしているか、こだわりがあるか否かというのは、中年期の自殺を考える上では重要なポイントとなっているように思えてならない。

なんかもっと他人に物理的影響を及ぼさない、かつ割とすぐに実行できて確実な自殺方法があればいいのになーと思うけど、しばらくは知ることがないだろうし、主流になるとしても相当未来の話なんだろうなぁ。

*1:ただし、ここでは“一般的な父親・母親らしさ”については言及しないこととする。