人間関係の正常、異常は紙一重

この間、主任に「あなた、親に怒られたりしてこなかったでしょ?」って言われた。突然。でも、確かにそうだ。たぶん主任も子供をあんまり怒ったりしないで育てたんだろうと思う。「きっと私たちの世代の親って、怒らない人が多かったんじゃないかなぁ」とも言っていたし。

我が家は両親がケンカをしないというのが両親の自慢。お兄様は学校に親呼び出し食らうようなことをしてお父様に説教されていたのを近くで見ていた。私自身は高校のころ、お小遣いの値上げ交渉でお母様と険悪になって以来、意見することをやめた。なにが原因なのか、すべてが原因の1つなのか、とにかく私は完璧なる「事なかれ主義者」として大人になった。
ケンカをしないというのは、よく考えれば異常なのかもしれない。意見が食い違ったことがないからケンカしたことがないというのなら、それはそれでキモチワルイ気がする。20年以上一緒に生活していてお互いに文句が出ないなんて、お互いに興味がないか、どちらか一方が我慢しているんじゃないか、なんて思う。きっと我が家は後者。どちらかが(主にお父様のほう)意見を引っ込めて相槌打っていれば、ケンカに発展することはまずない。
ケンカを見たことがないから仲直りの方法も知らない。ケンカを見たことがないから、主張の仕方も知らない。そうやって大人になったら、とても打たれ弱い人間になっていた。親元を離れたとき、一気に親への不満が噴出した。

今は話し合うこと、主張しあうこと、伝え合うことが大切だと身をもって知ったから、自分の意見を伝えてくれる人とは概ね良好な関係を築けるようになった。しかし、打たれ弱さは相変わらずだ。突然批判を浴びせられたり、未熟ゆえに怒られることには未だに慣れない。突発的なことには反応できないのだ。相手が攻撃的なら萎縮してしまうから尚更。きっと慣れていくのだろうけど、時間がかかりそうだからめまいがする。